はまな調息堂

はまな調息堂ウェブログ:日々の堂主

調息整体指導室/はまな調息堂の堂主が、
からだを整えるということや日々の活動について
考えたことを綴ります

5月、季節は春から初夏になり、ここ大阪は阿倍野の松崎町も昼間は晴れていると蒸し暑くなってきた。ただ寒さのゆり戻しがありそうで、施術室の遠赤ヒーターと待合のホットカーペットをしまえないでいる。

そんなちょっと季節外れかもしれない当院で、先日の28日に仲間と二回目の古武術介護勉強会を行った。

古武術介護

主に寝たきりの要介護者さんを座らせたり車椅子に移乗したりする

トランスファーテクニック

欧米から渡ってきたこのテクニックを日本の伝統的身体操作法を使って組みなおしたもので、要介護者さんにとっても介護者さんにとっても既存のものよりも安全にかつ効率良く行えるようになっている。

NHKによく出演されている古武術研究家の甲野善紀さんと、そのお弟子さんで理学療法士の岡田慎一郎さんによってつくられた技術だ。

この技術に出会ったのがいつだったか??よく覚えていない。
ただ高齢者の機能訓練を訪問でやっている治療院に転職した後だということは確かだから、もう十年近くにはなる。

ぼく自身はこの技術をTVで観た後、書籍を書店で立ち読みをして形を覚えて、その日のうちに使っていた。これはいくつかの事情から古武術介護に使われている基本原理、

腕を使わない、足を使わない。
体幹の動きを使う
重心移動を利用する。
蹴らない、踏ん張らない

などを出会う前から身に着けていたからできただけのことで、ぼくが凄いというわけでは決してない。

ただ、そんなだから誰でも簡単にできるものだと勘違いしていて、5年程前にバイト先の勉強会でチューターを受け持った際に技術をみせて講習をやってみたものの、生徒である同僚の誰もが出来ず、「難しいね」で終わってしまった。

それが去年の6月頃にバイト先の所長(社長のこと)から、
「こんな本を見つけたから、野中君、勉強会でやってくれへんかな??」 と岡田慎一郎著「古武術介護入門」を手渡された。

これは前回購入した書籍とは違いここで使われている身体操作の原理に重点をおいた 書籍で、技術いぜんの「遊び」も多数もりこんであり誰でも原理を理解して身に着け使いこなせるように工夫してある内容だった。
(原理を身に着けた人には技術を学ぶ実践編が用意されている。)

ちょうど何人かの同僚から「添え立ち」という古武術介護のあるテクニックを教えて欲しいという依頼も受けていたので、前回の反省も踏まえてきちんと書籍を読み込み、資料を作って練習した上でやることにした。

一冊の書籍を丸ごと資料にするのは慣れていないのもあって時間がかかり、遅れに遅れて結局半年以上たった今年の3月にようやく完成、31日に友人二人に集まってもらい練習会をさせてもらった。
これが記念すべき第一回、はまな調息堂、古武術介護講座になる。
そして同時に、4月からバイト先でも古武術介護講座を毎週水曜日にはじめることになった。

まだ両方とも2回目ぐらいだけど入念に準備をした御陰で、参加者の皆さんも比較的難しい技術も割りとすんなり出来るようになって楽しんで受けてもらえているようだ。

実は、こういった体の動かし方をやったことが無い人に一つ一つ段階を踏んで教えて練習してもらいこの古武術介護の原理を身に着けてもらうと調息整体の操法も上手くなる。
なぜそうなるかというと、それはぼくが練習しないで出来たいくつかの事情に関連している。それは、

・古武術介護を作った甲野善紀さんは岡島先生の元で武術を教える講師として働いていたことがあり、その技術を岡島先生が調息整体の初期の技術に取り込んでいたこと。
・後年、甲野さんが多大な影響を受け術理を見出すきっかけになった振武舘の黒田鉄山先生に岡島先生が弟子入りし、調息整体の操法の型に振武舘の型の概念を盛り込んだこと

つまりは身体操作の面において、古武術介護と調息整体の技術は、兄弟にあたるのだ。
(余談ながら甲野さんを野口整体の総本山である整体協会に連れて行き、彼に野口整体を引き合わせたのが岡島先生だったりする。)

ということで、将来、自分が調息整体を後進に教えることになった時は、初心者の基本講座としてこの古武術介護の原理も教えて身に着けてもらおうかと思っている。

もちろん、これだけを身に着けたい介護職の人とかにも希望してもらえれば教えるつもりではいるのだけど、甲野さんや岡田さんの講座に出てちゃんと習ったわけではないので、勝手に教えていいのかしら??と悩んでいる次第。